自己紹介
筈井 俊輔(はずい しゅんすけ)
北海道国立大学機構 小樽商科大学大学院商学研究科
アントレプレナーシップ専攻・教授
博士(経済学)・専門は経営学・組織論
研究の関心
研究の出発点は、「仕事はいかに立ち上がるのか」という問いです。組織の現場では、管理者があらかじめ設計した仕事のほかに、従業員自身が状況を読み取り、他の人やモノ、場所との関係のなかで、別の仕事や実践を立ち上げていく過程が常に起きています。これを、単に個人の気質や組織文化に還元するのではなく、人と人・人とモノの相互作用と、その背後の社会技術的構造から読み解くことを続けてきました。
この問いは、人材育成・リスキリング、技術導入・DX、インフラ構築・長期継続事業、海外拠点の現地化といった、実務的に重要な論点すべてに射程が及びます。各論点に共通するのは、「施策を整えることと、現場で実践が立ち上がることのあいだに、どのような条件の違いがあるのか」という問いです。
近年は、これらに加えて、エッセンシャルワークや不可視労働のように、社会を支えながら十分に言語化されてこなかった現場の研究にも取り組んでいます。
経歴
洛南高等学校・京都大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士後期課程修了。
京都大学大学院経済学研究科ジュニアリサーチャー、同特定助教を経て、2022年より小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻に着任。准教授を経て、現在は教授を務めています。
米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校 客員研究員 および ペンシルベニア州フィラデルフィア・ドレクセル大学のフェローシップとして約3年間在外研究をし、組織論の研究関心を深めました。この時期の経験は、人と場所のつながりから新しいことが立ち上がる感覚を、研究の原点として持つきっかけになりました。
主な著作・受賞
主著
『なぜ特異な仕事は生まれるのか?——批判的実在論からのアプローチ』京都大学学術出版会、2021年
学会賞受賞
- 第21回日本社会学会奨励賞(著書の部)
- 日本情報経営学会論文奨励賞(涌田宏昭賞)
主要な論文
- 「現場学の方法論——エッセンシャルワーク研究におけるモード2型知識創造」『商学討究』76巻2/3号、2025年
- 「種を越えたうねりをつかむ組織研究を目指して——人新世の組織論の問い」『商学討究』75巻2号、2024年
- 「市民によるインフラ構築としてのゲノムコホート事業——批判的実在論から見た業務継続のダイナミクス」(吉澤剛氏との共著)『組織科学』56巻3号、2023年
- 「組織開発としての現地化プロセス——タイ味の素社における『iCHANGE』の事例分析」(嵐田高彰氏との共著)『金沢学院大学紀要』20号、2022年
- 「パレーシアステースとしての企業家——小倉昌男にみる企業家的真理ゲーム」(伊藤博之氏ほかとの共著)『日本ベンチャー学会誌』37号、2021年
- 「サテライトオフィスにおける情報通信技術を用いた業務実践の創発——批判的実在論の観点から」『日本情報経営学会誌』39巻4号、2020年
白書・調査報告
『人材育成・リスキリング白書——北海道先行事例から読み解くSRACEモデルと成熟度フレームワーク』北海道国立大学機構、2026年
ビジネスケース
京都大学経営管理大学院ビジネスケース、小樽商科大学大学院ケースライブラリ(多数)
論文・著作のリストは、researchmapをご覧ください。
所属学会
日本社会学会、日本情報経営学会、日本経営学会、組織学会、European Group for Organizational Studies(EGOS)ほか
実務との関係
研究と実務は、二つの別の世界ではなく、同じ問いの異なる表現だと考えています。現場で起きていることを、研究の枠組みで言語化することが、現場にとっても研究にとっても資産になります。
講演、研究顧問、企業や官公庁との共同研究を通じて、研究の問いを実務の論点に翻訳し、実務の実践を研究に還元する取り組みを続けています。それぞれの活動の詳細は、以下のページをご覧ください。